麻布の柳屋敷
関連作品
- BOOK1第7章 (青豆)蝶を起さないようにとても静かに
- BOOK1第13章 (青豆)生まれながらの被害者
- BOOK1第15章 (青豆)気球に碇をつけるみたいにしっかりと
- BOOK1第17章 (青豆)私たちが幸福になろうが不幸になろうが
- BOOK1第19章 (青豆)秘密を分かち合う女たち?
- BOOK1第23章 (青豆)これは何かの始まりに過ぎない?
- BOOK2第1章 (青豆)あれは世界でいちばん退屈な町だった?
描写や記述
土曜の午後一時過ぎ、青豆は「柳屋敷」を訪れた。その家には年を経た柳の巨木が何本も繁り、それが石塀の上から頭を出し、風が吹くと行き場を失った魂の群れのように音もなく揺れた。だから近所の人々は昔から当然のように、その古い屋敷を「柳屋敷」と呼んでいた。麻布の急な坂を登り切ったところにそれはある。柳の枝のてっぺんに身の軽い鳥たちがとまっているのが見える。屋根の日だまりで、大きな猫が目を細めてひなたぼっこをしている。あたりの通りは狭く、曲がりくねっており、車もほとんど通らない。高い樹木が多く、昼間でも薄暗い印象があった。この一角に足を踏み入れると、時間の歩みが少しばかり遅くなったような気さえする。近所には大使館がいくつかあるが、人の出入りは多くない。普段はしんとしているが、夏になると事情が一変し、蝉の声で耳が痛くなる。
(『1Q84』BOOK1第7章より)
- 柳屋敷の門
- 柳屋敷を訪れる青豆は、監視カメラで確認され、遠隔操作で開かれる門から敷地に入る。
- 柳屋敷の庭
- 敷地に入った青豆は庭を横切り、屋敷の玄関に向かう。
監視カメラが彼女の姿をとらえていることを知っていたから、青豆はファッションモデルのように背筋を伸ばし、顎を引いてまっすぐ小径を歩いた。
(『1Q84』BOOK1第7章より)
- “その家には年を経た柳の巨木が何本も繁り”。
青豆は立派な柳の樹を眺めながらそこで待っていた。風はなく、その枝は地面に向けてひっそり垂れ下がっていた。とりとめのない思索に耽る人のように。
(『1Q84』BOOK1第7章より)
- 屋敷の監視カメラ
- 屋敷の母屋
- 母屋の玄関前には、チーク材のガーデンチェアがいくつか置かれている。
関連する事項
- 麻布
- 麻布(あざぶ)は、『1Q84』の背景になる1984年(IQ84年)も現在も、東京都港区の一角を占める地域の地域名。「港区を構成する5地域の1つ」ともされる。麻布地域の縁を縁取るように古川が流れている。実際の町名では、「麻布十番」「麻布台」「麻布永坂町」「麻布狸穴町」「西麻布」「東麻布」「南麻布」「元麻布」から構成されている。元来は「六本木」も麻布に含まれた地域で、地元感覚では、現在も含めるらしい。
- 東京都港区は、1947年に発足したが、その際、それまで存在していた「麻布区」の行政区が消滅し、港区に統合再編された。旧芝区、旧麻布区、旧赤坂区の3区が合併して発足したのが、現在の港区。旧麻布区は、1868年に、東京15区6郡の1区として発足。1889年に東京市の1区として存続。1943年に東京都の1区として存続。
- 「麻布」という地名が記されるようになったのは江戸時代の元禄期からといわれる。
- 地形は、山の手台地と谷地が形成する起伏に富んでいて坂道が多い。
- 基本的には住宅地。都心の一等地にあたり地価が高く、特に高台は富裕層が多く住んでいるとイメージされる。現在でも高級住宅地のイメージが強い。低地にあたる麻布十番や東麻布などは、高台とはやや異なり、古くから職人たちが集住したエリアで、下町風のイメージがある。
- 低地部には幹線道路が通っていて、幹線道路沿いには高層マンションが目立つ。2次大戦後は各国の大使館がかなり多く設けられている地域で、これも高級住宅地のイメージを強めている理由の1つ。
- 2000年に、地下鉄南北線、大江戸線の麻布十番駅、大江戸線赤羽橋駅、三田線、南北線白金高輪駅の3駅が相次いで開業。地下鉄でのアクセスが容易になった。それ以前は、麻布地域内の鉄道駅は六本木駅と南麻布の端にある広尾駅、隣接地域の神谷町駅があるだけで、「都心に近い閑静な住宅街」のイメージを強めていた。
書誌情報
関連書籍
1Q84スタディーズBOOK〈1〉 (MURAKAMI Haruki Study Books)(ジェイ ルービン/渡部 泰明/井桁 貞義/明里 千章/藤井 省三)
1Q84スタディーズBOOK〈2〉 (MURAKAMI Haruki Study Boooks)(小森 陽一/小松原 孝文/木村 政樹/村上 陽子/小野 絵里華)
村上春樹・戦記/『1Q84』のジェネシス(鈴村 和成)
村上春樹『1Q84』をどう読むか
「1Q84」村上春樹の世界 (洋泉社MOOK)
村上春樹の『1Q84』を読み解く(村上春樹研究会)
村上春樹「1Q84」の世界を深読みする本(空気さなぎ調査委員会)
1Q84 (Yaso imagisonic (#3))(浅田 彰/ドクトル梅津バンド)
邪悪なものの鎮め方(内田 樹)- bk1 - IQ84関連書籍
話題まとめ
- namazu:空気さなぎ (全文検索結果)
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1Q84 BOOK 1(村上 春樹)
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